シニア世代になると、若い時ほど怒りを爆発させることは少なくなっているが、「怒り(感情をぶつける行為)」が自律神経のバランスを乱す引き金になるといわれている。
人はどんなときに怒るのかをまとめてみると、次の5つが挙げられる。
@ 環境が悪いとき(暑い、騒々しいなど)
A 体調が悪いとき
B 気持ちに余裕がないとき
C 自信がないとき
D 予想外のことが起こったとき
これらが1つでも自分の身に降りかかると、人は怒りを覚える。人は、いくら怒りの悪影響がわっていても、憤りを抑えられない場合があるものだ。
怒った後は、正しい対処が大切である。すぐに平常心を取り戻すか、それとも嫌な気分を引きずって1日を過ごすか ─ それがその人の健康か不健康かの分れ道になるのである。
怒りをエスカレートさせないためには、まずは「自分が怒っていること」を意識することだ。「今、自分は怒っているのか」「どんな状況で怒ったか」「何に対して、何が原因で怒っているのか」。これらを自問してみよう。答えが見つかれば、少しは落ち着くはずである。次に考えるのが、「怒りのメリット」。例えば、相手のミスが減り、改善が期待できれば張り合いもある。ただ、何も解決しないのであれば、自分と相手にストレスが募るだけである。
相手や自分を傷つけてまで怒る必要があるかを見つめよう。これがなかなか難しいものだ。それでも腹が立つときは、いったん怒りを「心の引き出し」に収めて見る。
自律神経のコンディションを立て直し、冷静な判断力を取り戻せば、原因や解決方法が見つかるかもしれない。よく、怒りは吐き出した方がいいといわれるが、その瞬間は確実に自律神経のバランスは乱れる。
「沈黙は金」という諺の通り、グッと堪えた方が健康には良いのである。一時的には交感神経は乱れるが、副交感神経が働き、自律神経のバランスが戻るからだ。とはいっても、誰から見ても正しいと思えることに対し、黙り込むのは賢明ではない。
きちんと怒り、相手を正しい道に誘うことは、大人として身に付けておきたい心得である。(資料:順天堂大学 小林弘幸教授の「健康講座」)
(2015/08/15)
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